電気自動車の効率を高めるには?
アルケマからの提案

電気自動車の効率改善に役立つアルケマのソリューション

近年は、リチウムイオン電池の技術が大幅に改善されている。アルケマは、自社のKynar® PVDFでこれに貢献しており、電池メーカーと協力してこれらの電池の航続距離、充電時間、およびライフサイクルをさらに最適化し続けている。また同社の技術者たちは、将来的な技術にも目を向けている。アルケマの三人の専門家、テクニカルポリマー用電池の開発責任者であるThomas Fine氏、フッ化物製品の研究開発ディレクターであるPhilippe Bonnet氏、および電池担当科学ディレクターであるDominique Plée氏に最新情報を聞いた。

リチウムイオン電池の動作原理を説明してもらえますか?

Thomas Fine – リチウムイオン電池は、可逆的な化学反応を利用してイオンと電子の流れを生じさせ、それによって電力を生み出します。すべての電池には何百または何千ものセルが内蔵されており、それらは三つの要素で構成されています。すなわち、電池を使用する際に電子を「捕捉」する金属粒子でコーティングしたアルミ板である陽極—電流コレクタ—;電池を再充電する際にリチウムイオンを「捕捉」する黒鉛粒子でコーティングした銅板である陰極—電流コレクタ—;そして最後に、二つの電極が互いに接触しないように電気的に絶縁して中央に配置された多孔質(イオンを通過させる)のセパレータ・フィルムです。

Computer graphics showing how a lithium-ion battery works

次に、リチウム塩を含む液体の溶媒を電解槽に注入します。これらの塩は最初はイオンで、電池が動作している間にセパレータを通って陰極から陽極へと移動します。これと同時に電子は、外部回路(すなわち電気で駆動する様々な自動車部品)を通って、陰極から陽極へと移動します。充電する際は、イオンと電子が、陽極から陰極に向かって逆に移動します。

 

次に、セルをパック状に積み重ねてケース内に集め、そのケースを自動車の下に配置します。例えばテスラのような電気自動車のケースには、数十個のパックがあり、セルは多い時で7,000個に達することもあります。


 

電極の製造:アルケマの生産性向上のノウハウ

電池や車両の製造業者は、革新的で非常に効率的なプロセスである電極の押出成形に興味を持っています。実際のこのプロセスによって生産性が向上し、溶剤の使用量が減ることでコスト削減につながります。ポリマーへの転換技術において主要なグローバルプレーヤーであるアルケマは、このプロセスの重要なステップである押出成形技術に優れています。


 

近年はリチウムイオン電池が改善されていますが、アルケマはこの進歩にどのように貢献しましたか?

Thomas Fine – 当社のKynar® PVDFは、高い電圧と電解質溶媒に対して優れた耐久性を示すフッ素重合体で、次の二つの機能があるためリチウムイオン電池に広く用いられています。まずKynar® PVDFは、活性粒子を電流コレクタの表面に接着する一種の「バインダー」としてだけでなく、セパレータ・フィルムの表面を保護する膜としても用いられています。もしも電極にこの十分な耐久性を有するバインダーがなく、セパレータを効果的に保護することができなければ、イオンと電子が陽極と陰極の間で無秩序に流れてしまいます。そうなるとセパレータは、充電する際にも放電する際にも、ランダムな経路を流れるイオンと電子によって激しく消耗します。その結果、エネルギーが失われ、セパレータが損耗するため最終的に電池が損耗します。

 

Kynar® PVDFを用いたリチウムイオン電池の場合は、充電する際と放電する際のイオンと電子の流れがより効率的になり、電池の性能が改善されます。またセパレータに関しては、PVDFの電気化学的耐久性が高いため、電池寿命を延ばすのに役立っています。当社は過去15年間にわたって等級を改善し続けてきましたが、これにより電池メーカーは電極の表面に必要な調剤の量を減らすことが可能になり、その量は8%から今日の1.5%まで徐々に減っています。またそれに比例してイオンと電子を引き込む活性粒子の量を増やすことによって、電池のエネルギー密度を高めることができました。

 

特に中国では、アルケマ社が適切な等級を製造できる自社の常熟工場と共に電気自動車ブームに対応しており、いくつかのリチウムイオン電池メーカーがKynar® PVDFを使用しています。とりわけ当社は、2011年にCATL—世界最大の中国の電池メーカー—が設立されてからずっと同社と提携してきましたが、この協力によって電池向けの等級を改善し続けることができました。

リチウムイオン電池の性能をさらに最適化するために、他にどのような方法を研究していますか?

Thomas Fine – 電池メーカーが研究開発で現在直面している課題には、電池の製造コストを下げることもありますが、何よりもまず航続距離を伸ばすこと(すなわち幹線道路上で400kmを超えること)、充電時間を短縮すること(当社の目標は15分で電池を80%充電すること)、および電池のライフサイクルを伸ばすこと(すなわち1,000時間の完全な充放電サイクルを上回ること)が重要です。現在のリチウムイオン電池技術でも充電時間を短縮することが可能ですが、それによって電池の寿命を縮めてしまうような変化が生じたり、不安定になって発火したりする可能性があります。このためメーカーは、電池の性能を高めると同時に完全に安定した材料を使用するための、適切な妥協点を見出さなければなりません。当社のKynar® は、高電圧に対する耐久性が優れているため、この妥協点を見出す際に重要な役割を果たしています。

Philippe Bonnet – 当社の研究開発部門は、電池メーカーが非常に前途有望と考えている他の材料についても研究しています。当社は、フッ化物化学に関する専門知識を活かして、高電圧での安定性が現在の電解質塩よりもはるかに高い、新しい電解質塩(LI-FSIおよびLI-TDI)を研究しています。これによって、電池の航続距離、充電時間、およびライフサイクルを改善し、内破の危険性をなくすことができるでしょう。

Dominique Plée – もう一つ別の最適化方法に、優れた電気伝導特性で知られているカーボンナノチューブ(CNT)を別の炭素負荷に加えて陽極を補強するという方法があります。陽極の調剤に約2%のCNTを加えると、陽極から陰極への電子の流れがスムーズになってエネルギーの流れが改善され、電池をより速く充電できるようになります。アルケマ社は、希少なCNTを生産している企業の一つで、現在、これらのナノチューブの純度を高め、金属触媒の痕跡をすべてなくし、電池の内部で完全に安定するようなプロセスを開発しています。

Computer graphics showing where Arkema's product can be found in a lithium-ion battery.

リチウム硫黄電池、全固体電池など、他にも電池技術がありますが、貴社もこれらの技術を研究しているのですか?

Dominique Plée – はい、もちろん当社も長期的に技術を予想しなければなりません。このため研究開発部が、Oxis社と協力してリチウム硫黄電池の研究を行っています。これらの電池はまだ自動車には用いられていませんが、リチウムイオン電池よりも軽いため、搭載電力量当たりの重量を軽減しなければならないすべての飛行物体(衛星、ドローン、アビオニクス機器)には用いられています。Oxis社は、アルケマ社や他の提携企業と協力して電池を改善し、バルク輸送市場に参入しようと考えています。

また「全固体」電池技術は、正真正銘の未来の電池となる画期的な技術であると考えられており、当社ももちろんそれに目を向けています。

 

この電池は、液体電解質—電気伝導物質—の代わりに、セパレータの機能を果たすセラミックやポリマーの導体板を用いたものです。この技術により、液体リチウムイオン電池が発火する危険性も減りますが、何よりもまず、航続距離が600km~800kmであり、充電時間も数分に短縮できるという非常に優れた性能が得られます。当社は、Hydroquebec社とこの技術を共同研究しており、特定のポリマーが、伝導セパレータおよび電解液成分(活物質と電解液を混ぜたもの)としての重要な役割を果たす可能性があることに注目しています。トヨタがこの技術を用いた最初のモデルを2025年までに発売するという話があります。他のメーカーは2030年になると話しています。この技術がいつ工業化されるかについては意見が異なっていますが、電池の世界では、これが画期的な発明になることは間違いないでしょう。とは言っても、成熟技術をベースにしたリチウムイオン電池の前途が明るいことに変わりはなく、特に効率を改善できる材料として有望視されています。一つだけ確かなのは、一つの技術ですべての要求を満たすことはできないということです。


 

 
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